2009年9月13日 (日)

廃校プロジェクト④ 旧東下組小学校

芸術祭も最終日です。皆さんじゅうぶん楽しみましたか?いかがでしたか?

では最後の作品紹介は旧東下組小学校の作品です。

Photo_5 【小沢敦志/鉄を作る】

集落から集めた鉄の道具、部品などを熱しぺらぺらになるまで叩いたものを教室に展示します。

もはや道具としての役割をもたない鉄。鉄の道具としての意味より、人が「鉄を叩く」という行為そのものを取り上げ、鉄を作るということのあり方に迫った作品です。

Photo_6 【松宮喜代勝+大阪芸術大学/地球と握手-復興から発展へ】

2005年より各地でワークショップを展開。丸い土の塊を地球に例え、それをつかむことで「地球と握手」をする。

約1万人の参加者の「地球と握手」した手形の土の焼き物をグラウンドに積み上げ展示。ワークショップもおこないました。

Photo_7 【山崎龍一/Culture bound syndrome】

フードをかぶった子供の人形を5体教室に展示。机が5つあるが座っているのは3体でのこり2体は机からはなれ、1体はロッカーの中に隠れてしまっている。

「引きこもる」現代人のコミニケーションをコンセプトに置いた作品。

Photo_9

【丹下公仁/妻有の社】

ながい時間をかけ地域のフィールドワークをおこなった。

妻有に存在するすべての神社をまわり「社」の写真を教室に展示。山と里を行き来する「田の神」の伝承をモチーフにしたインスタレーションも同時に展示しました。

自然と伝承、人々の関わり方を浮き彫りにする作品です。

Photo_8 【山下工美/椅子】

照明の光と影により作り出される作品をつくってきた作家。壁に設置された彫刻に照明があたることによって、誰もいないのに椅子に座る人物の影が浮かびあがる作品。

【マギー・カルデルス/残すべきもの】

作家と妻有の人々との出会いを映像により発表。

日本人の見慣れた風景がどこか違う風景に見えてくる映像を学校の中で上映しました。

Photo_10 【水谷一/隆起する部屋/日没と日の出】

音楽室に白と黒の模様の凹凸のある隆起したドローイングを展示。太陽の位置、座標、時間によって隆起する壁に影ができる。妻有の時間の流れと光を視覚化する作品です。

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2009年9月12日 (土)

廃校プロジェクト① 旧枯木又分校

大地の芸術祭もあと2日になりました。

最後は「廃校プロジェクト」を取り上げたいと思います。

第一弾は枯木又分校です。

【京都精華大学/枯木又プロジェクト】

山間集落の地域づくりをおこなう長期プロジェクトです。

今回は立体造形コースによる「記憶と感性の発動」。廃校の教室でアーカイブの映像を流します。イベントも行い自然環境を生かした作品の展開をおこなっていきます。

Photo 【吉野央子/憧憬の小学校】

5分の1スケールに縮小した枯木又分校の模型を体育館に宙に吊るした状態で展示します。

ありし日の学校の記憶を再現した作品です。

Photo_2 【内田晴之/大地の記憶】

グラウンドに円形の造園をつくりました。今回はまだ植えたばかりの状態ですが内側に真っ赤な彼岸花、外側に稲架木(はさぎ)が育ち長い時間とともに成長していく作品。

Photo_3【森太三/Sky Mountains2009】

廃校の2階では床を一面に古紙や古着を素材に白く覆いました。雪山をイメージさせる空間が教室を静寂と記憶で包みます。

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2009年9月10日 (木)

「しゃったぁず・4」上映

やっと見てきました。

ええっと以前ここで書いた内容…っていうかぐりむさんが当初聞いていた情報とはだいぶ違う内容でした。

母親が死んで地元、十日町に戻ってきて酒屋を継ぐことになった主人公がシャッターのおりた商店街に活気を取り戻そうと奮闘するストーリーです。

でもはっきりいって・・・主人公、ダメ人間じゃん!

酒は飲むわパチンコはやるわ女房子供には逃げられるわ、酒屋を継ぐといってもろくに仕事もしません。

で、映画なんですがどうして商店街がさびれてしまったのか、そこでどうやって人々が奮闘するのかがうまく描けていないように思いました。

笑いどころもあんまりなかったし・・・

ドキュメンタリータッチにするならもっと商店街の現状がわかるようなストーリーにして欲しかったです。そうではなく人間の人情とかを表現したいのならもっと登場人物のキャラとかセリフに個性やインパクトを持たせて欲しかった・・・

フィクションなら前半はリアルなストーリーでいいんですが、後半で現実を超越するような展開をして欲しかったです。正直、え?これで終わり?って思いました。

商店街のお年寄りの人たちや、せっかく主人公が若者なんだから若者が商店街に活気を取り戻そうと立ち上がるような映画にして欲しかったです。

やはり芸術祭で映画作品をつくるというのは厳しいです。

とはいえ少ない予算でこれだけの映画をつくれたんだからまぁすごいです。

すべて十日町でのロケというのもリアルでおもしろかったです。

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2009年9月 2日 (水)

戦後のラブレター

Photo_2 作者:キドラット・タヒミック(フィリピン)

作品名:戦後のラブレター

(イフガオの棚田から新潟の棚田へ愛をこめて)

場所:下条(十日町エリア)

ガイドブックには載っていない作品番号277番です。

場所は作品番号6番付近のY字路を左に曲がったところ。

2003年度に古郡弘さんの作品がつくられた田んぼの中です。

フィリピンの彫像と、フィリピンの田園地帯の小屋を田んぼの中に設置しました。

フィリピンにも日本とおなじような棚田があります。しかしそこでは農耕車などの機械や化学肥料などはつかわず、30年前と変らない農業の営みが今もあります。

それは同時に目に見えない自然の恩恵、神や精霊の存在が今も信じられており昔の暮らしが今も存在しているということです。

また「戦後のラブレター」というタイトルですが、戦争を知らない世代に生まれた私たちは歴史の教科書数ページに書かれていることくらいしか戦争とはどんなものだったのかわかりません。

古くからの民族が信仰していた自然の恵み、戦争の記憶などを私たちは忘れてしまっています。

目に見えない力、平和であることの喜びを日本人にもう一度問いかけ、海を越えて友情のシンボルとして日本の棚田に、フィリピンの棚田を再現させた作品です。

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2009年8月31日 (月)

GO FLIGHT AIRSHIP

Photo_2 作者:林剛人丸

作品名:GO FLIGHT AIRSHIP

場所:十日町駅(十日町エリア)

空気圧によってカプセルの中から滑空機があらわれ飛行曲線を描く試みなど「飛行」をテーマにした作品をつくる作家。

「十日町の空」をテーマに2003年より芸術祭本祭や中間イベント「大地の祭り」などで作品を発表してきました。

これまでの作品では十日町の空の写真で滑空機をつくり訪れた人に飛ばしてもらいその位置を地図にマッピングして「十日町の空」を世界に発信してきました。

今回は十日町駅東口に巨大な飛行船のかたちをしたアドバルーン「GO FLIGHT AIRSHIP」が出現します。

昼には白い飛行船が空に浮かぶ。

夜にはライトアップされ白い飛行船に空の景色が映し出されます。雲の動きや移り変わる空の色を映しながら夜空に浮かびます。

飛行は住む空間や時間を体感するのにとても有効な手段であると作家は考えます。

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2009年8月30日 (日)

黎の家

Photo 作者:東京都市大学手塚貴晴研究室+彦坂尚嘉

(日本)

作品名:黎の家

場所:坂下(松之山エリア)

古い民家を墨で真っ黒に塗り再生させます。

色は人間の心理に影響をあたえることは知られています。

赤は興奮、青は恐怖、黄色は緊張、緑はリラックス。

赤い色に囲まれていると時間がながく感じます。青い色は時間がみじかく感じまさせす。

白い色はものの重さを軽く感じさせ、黒は重く感じます。

雪を連想させるためか、白い色をつかった作品が多いなかこの作家はあえて黒という色を選びました。

家の中の最初の部屋では鍋ややかん、ざるなどの物言わぬ日用品がひとつのかたまりとなって吊るされ展示されています。集落から集めたもので、人々の営みの歴史を吸い込んだものです。

彦坂さんの手がけた空間は期間限定でレストランとしてオープンします。

二階の部屋もすべて黒く塗りつぶされています。

「黎」とは髪の黒色という意味と、庶民・民俗といった意味があります。

黒く塗りつぶされた家は繰り返された人の何気ない日常の重さであり、記憶です。

この家を中心に過疎化、少子化のすすみ失われていくすべての家への再生を広げる場所です。

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2009年8月29日 (土)

雪ノウチ

Photo 作者:杉浦久子+杉浦友哉+昭和女子大学杉浦ゼミ

(日本)

作品名:雪ノウチ

場所:十日町市街地(十日町エリア)

2003年、同じ場所に「ユキノウチ」という作品をつくりました。雪国の家と家の間には雪おろしのための隙間があります。7棟の家の軒から軒へ隙間を白いネットで覆い家々が雪に埋もれたようなもうひとつの空間をつくりました。

「ウチ」は家と内をあらわしここで暮らす人々と作家と来訪者の間に交流ができました。十日町のリアルな日常を垣間見せる場所でした。

そして2004年、悲劇は起こりました。

新潟県中越地震。作家と交流のあった住民が命を落とし、「ユキノウチ」のあった風景は歪められ、失われました。

2006年の大地の芸術祭では家の主を失い空き地となった同じ場所に、追悼と祈りを込めて「幸ノウチ」をつくりました。この空間にふたたび幸せがやってくるよう住民との協働で空き地を白い花のレースで覆い表現しました。

3回目となる今回の芸術祭でも、おなじ空き地に「雪ノウチ」と名前を変え作品をつくりました。

今年は作家と住民らによってつくられた耐水性の折り紙約72000枚で3000個の雪の結晶を思わせるオブジェを一面にインスタレーションしました。

それは新たな景色をつくり、この場を未来へつなぎます。

この場所が変化するように「ユキノウチ」も変化していきます。

この場を記憶に留め、雪に祈りをこめた作品になりました。

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2009年8月27日 (木)

風の音

Photo_2 作者:渡辺泰幸(日本)

作品名:風の音

場所:土市・招魂社(十日町エリア)

土を焼く作品を発表してきた作家。芸術祭ではワークショップも多くおこなっています。

前回、前々回と住民との協働で「土の音」を制作。

土でつくった音具に住民たちが好きな絵などを描きこみ焼いたものを展示しました。

今年はおなじ場所に「風の音」を制作。

土で焼いた風鈴のかたちの作品に住民らが絵や言葉を描きその無数の「風の音」が鳴り響く作品になりました。

この作品でぐりむさんが注目したのは「場所」です。前回、前々回の作品「土の音」と「土市」という地名を引っ掛けているのかは知りませんが、地元に住んでるぐりむさんでさえ

「こんな場所があったのか」

と思うような小高い丘の上です。神社の裏にあり近くにお寺があることや「招霊社」という場所の名前からなにやら聖地のような霊験あらたかな感じの場所です。

神社の裏の山道を登ると聞えてくるのは風の奏でる山の声。

頂上にたどりつくと円形に組まれた場所に無数の風鈴が吊るされています。

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2009年8月26日 (水)

みんなのくさむら

Photo 作者:斉藤健+黒澤清高

作品名:みんなのくさむら

場所:水沢市ノ沢(十日町エリア)

今日は「十日町おおまつり」です。

今も花火があがっています。

この時期になると妻有は日中こそまだまだ暑いですが夜になるとだいぶ涼しく秋の気配です。

夜になると虫たちの声が聞えてきます。

ということでこの作品の紹介です。

動物や虫たちがあつまる「草むら」。

そこは森とは違い日のあたるあたたかい場所です。

雪を連想させる白で塗った竹を草のように何本もたてて

「人間たちの草むら」をつくりました。

生き物たちが居場所を探すように自分の居ごこちのいい場所をみつけて、自分なりの時間の過ごし方を考える作品。

自分より背の高い草に囲まれて世界が大きくなったような気分になります。

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2009年8月14日 (金)

絵本と木の実美術館

Photo 作者:田島征三(日本)

作品名:鉢&田島征三・絵本と木の実美術館

場所:鉢(十日町エリア)

絵本作家であり芸術家でもある作家。

1940年、大阪に生まれ高知で幼少時代を過ごす。

60年代より常識をくつがえすような作品を発表してきました。

2006年廃校になった真田小学校の木造校舎を2008年に「絵本と木の実美術館」として開館させました。

今回の作品は廃校全体をつかいこの学校の最後の在校生となったユウキ、ユカ、ケンタの3人を主人公にした立体的な絵本を創作する今年の芸術祭の目玉作品のひとつです。「道があって木があって川がある、地球規模でつながるような立体的な絵本をつくりたい」という作家の長年の夢の実現ともいえる作品です。

まず訪れた人を迎えるのは校舎入り口にある「バッタリバッタ」です。水が流れ水がいっぱいになるとバッタンと傾くバッタのかたちをしたいわゆる「ししおどし」です。3体のバッタは3人の主人公とつながっているようです。

校舎の体育館に入ると「学校はカラッポにならない」というこの物語のタイトル、そして100体近くの流木でつくられたカラフルなオブジェが吊るされています。ここから物語のはじまりです。まず教室に入ると流木でつくられた3人の子どもたちが机に座り授業をうけているところ。順路に沿ってすすんでいくと子どもたちが遊んだり飛び回ったりしています。

絵の具で色づけされた流木や木の実のオブジェが学校の学用品などと一緒に展示されています。教室や廊下が通路になっており、一見棚に見えるところも扉をあけるととなりの教室につながっていたりします。そして作家がかならずいると信じていた「学校に棲む妖怪」も登場。妖怪の名前はトペラトトとドラドラバン。ガマガエルのような妖怪です。

トペラトトは子どもたちの思い出を食べる妖怪。3人の子どもたちの楽しい思い出を食べておなかがいっぱいになっていた。ところが夢や希望をこわしてしまう妖怪ドラドラバンが地下室からあらわれて・・・

子どもたちが妖怪を追いかけるストーリーが展開されます。子どもたちが学校中を生き生きと動き回る。実際にこれらのオブジェが動いたりします。これは入り口の「バッタリバッタ」が動く動力によって動いています。

作家は戦時中の貧しい時代を生きたためハイテクなものはいっさいつかいません。オブジェもすべて手づくり。オブジェにつかわれている流木には川の歴史が刻まれている。また木の実には生命の力があると作家は考えています。

木造の校舎の空間と色鮮やかな流木や木の実の子どもたちや動物や妖怪が、懐かしくあたたかく見たこともない世界を作り出します。

物語の最後では「トペラトト」が飛び散って校舎中に子どもたちの思い出が飛び散り、子どもたちが学校の外に飛び出していきます。

「いつかは子どもたちは外の世界に飛び出していかなくてはならない。しかしまたいつか帰る場所があるとよい。」と作家は考えます。

絵本は子どもだけのものではなく、大人やお年寄りすべての人に向けて描く。しかし作家は一方ですべての人によろこんでもらいたいとは考えていません。自由な心を持っている人に、それを持ちたいと思っている人に見てもらいたいと考えています。古いカラに閉じこもっている人のカラをコナゴナにしてやろうと語ります。

この作品は「脱皮」をテーマにした壮大なストーリーです。しかしあくまで絵本なので決して難解で理解しがたいものではなく誰の心にもなにかをあたえてくれます。

ひとつの学校を舞台にしたイメージの世界を楽しみにぜひ足を運んで欲しい作品です。

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